今朝見た夢の話。
出てきたのは中学・高校の同級生二人。現実世界において、私たちは仲が良かった訳ではない。むしろ関係性は最悪だった。もう一生会うこともないし、できれば会いたくないと思っていた二人がなぜ夢にまで出てきたのか。
中学時代、私はこのうちの1人からちょっとした嫌がらせを受けた。そんな極端なことではなかったが、休み時間中じっと観察されたり、笑われたり。思春期の私にはそれだけで充分キツかった。
高校で彼女と同じクラスになることはなかったが、彼女の友人とは2年間同じ教室で過ごすことになった。当然のようにその子も私に対して好意的に接してくれることはなく、息苦しさを感じる毎日だった。
とはいえ、私も心の中で彼女たちを酷い言葉で罵っていたし、口に出さずとも雰囲気でそれは伝わっていたと思う。その点ではたしかに自分も悪かった。そんな反省もあって、
「もうあのことは忘れよう。人を赦さないでいるのは良くない」
と考えるようになり、今に至っていたのだが、それでも100%スッキリとはいかなかった。
ふとした瞬間に蘇る苦い気持ち。
「そのことを思い出さなくなったときが、赦したときだよ」
という言葉を心理学の先生から聞いたことがあるのだが、そんな簡単に忘れられるものではなかった。
そんな中見た今朝の夢。
私たち3人は高校生で、バスで下校しているところだった。不思議なことに私は二人と共に行動しており、特に友人の方とは親しく話せる関係になっていた。それを見たもう一人が何か言いたげな、いつもとは違う表情でこちらを見つめている。そのうちバスは停留所につき、彼女だけがそこで降りることになった。そして別れ際、信じられないことが起こる。
「ばいばい」
たった一言だったが、彼女は私にそう言ってくれた。ちょっと気まずそうな、照れ臭そうな表情でそう告げると、すぐに背を向けてバスから降りていったのだ。
ちょうどそこで目が覚めた。
今のは一体、なんだったんだろう。遠くから悪口を言うだけで、まともな会話なんか1度もしたことのないあの子が私に話しかけてくれた。夢の中では友人の方と親しくなっていたから、同じように仲良くしたいと思ってくれたのだろうか。
現実ではあり得ないことばかりの夢に驚きが止まらない中、1つだけ確信したことがある。
「私は2人のことを心から許せたんだ」
いくら夢の中のこととはいえ、2人に対する苦手や嫌悪感が一切なかったこと、何より普通に話しかけてくれたことが、ものすごく嬉しかった。この夢において、彼女たちは私の敵ではなく、ちゃんと友人だったのだ。
都合のいい解釈かもしれない。
それでも今、現実の私も、彼女たちに対して負の感情を抱いてはいない。過去の出来事で必要以上に苦しい思いをすることは今後はないよ、と誰かに言ってもらったような気がしている。
私よりもっと過酷な試練を経験している人は絶対にいるだろう。中には一生赦さない、という選択をする人もいるかもしれない。
でも私は、どんな過去を経験した人にも赦すことをおすすめしたい。
どれだけ時間がかかっても、それは不可能ではないことを知っているから。
今日は素晴らしい秋晴れだ。
雲もなく、日差しも柔らかく、空気はちょっと冷たいが、とても清々しい。
彼女たちが今どこで何をしているのかは知らないが、2人が同じ空の下で、今日を平和に幸せに過ごせると良いなと、心から願っている。