私には、大好きすぎてこの世から消えてしまったらもう生きていけないと思う食べ物が4つある。
桃・いくら・あんこ・そして、さつまいもだ。
焼き芋、スイートポテト、大学芋に芋けんぴ、蒸しパン、サラダ、味噌汁に入れても美味しい。どうやって食べても絶対に美味しい。それがさつまいも。どうしてこんなに美味しいのか。もちろんじゃがいも美味しいし好きだが、さつまいもの優しい甘さと香りにはやっぱり敵わない。いつか九州に行って、美味しいさつまいも料理をたくさん食べるのが密かな夢である。
そんな私だが、実はさつまいも以上に好きなお芋がある。紫芋だ。その存在を知ったのはもうずっとずっと前のこと。衝撃的な出会いだった。
父が仕事関係の方からいただいたお土産。しっとり生地のひと口サイズのケーキで、どうやらさつまいもで出来ているらしい。もちろん大喜びで食いついた。
「黄色くてサイズも可愛くて、良い香りがする。とっても美味しそう!」
だが、その隣にはもう1種類、明らかに違う雰囲気のものが入っていた。見た目はひと口サイズのモンブラン。同じくしっとりとした生地の上に濃い紫のフィリングが何本もかかっていたのだ。
「え、これ、食べれるの?」
今でこそさつまいもより紫芋派の私だが、当時は紫色の芋があることさえ知らなかった。それゆえ、目の前にあるもじゃもじゃが、まるでポケモンのモンジャラのような、さらにいえばもののけ姫に出てくるタタリ神のような、得体の知れない物体にしか見えなかったのだ。
「紫芋も美味しいから1個食べてごらん」
親に勧められ、渋々手に取ったものの、どうも食欲が湧かない。本当に食べて大丈夫なのだろうか。どこからどう見ても怪しいんだけど。
フォークに小さく乗せたそれを口に入れたその瞬間、世界が変わった。
紫芋の何がそんなに美味しいのか、と言われると正直説明ができない。
特別甘いわけでもないし、ものすごくいい香りがするわけでもないし、どちらかというとふんわりぼんやりした味なので、大好きといいながらその魅力を言葉で説明することができない。
ただ、これはモンジャラかタタリ神か、と身構えた子供の心を鷲掴みにするだけの魅力があることは間違いない。
残念ながらなかなか紫芋を使った商品には出会えないのだが、だからこそ見つけた時の喜びはとても大きい。
何年も前にマクドナルドで紫芋味のシェイクが出た時は「企画した人天才!」と心から思った。(是非また復活させてください、お願いします。)
また、衝撃的な出会いを果たした例のお菓子も最近になって、おそらくこれだろうと思うものを見つけ、取り寄せて食べることができた。20数年ぶりの再会である。(ありがとうネット社会!)
もしもいつか、そんな計画は全くないのだけれど、私がカフェを開くことがあれば、絶対に店のおすすめメニューとして紫芋のモンブランを置きたい。365日、いつでも紫芋のお菓子を食べられる環境を作りたい。そんな野望が生まれつつある。
※本当は今週のお題「芋」に合わせたかったのですが間に合いませんでした。でもせっかく書いたので投稿します!