親友

歳の近い妹がいる。家族同士なので"友達"と呼ぶのはちょっと違うかもしれないが、私は彼女を一番の友人と思っている。

ハッキリ言って趣味は合わない。私たちの感想はいつだって真逆。例えば

リカちゃん人形→「かーわいいっ!この顔になりたい」「リカちゃん無理。この顔きらい」

考察系のアニメや小説→「そういうことね!最高すぎる!!」「理解できないしする気もない」

色→「ピンクしか勝たん」「可愛いとか無理。黒一択」

来年の劇場版コナン→「このメンツか。まあ観には行くけど」「ねえ次回作推しの集いなんだけど!」

といった具合だ。カラオケとかアートとか、共通して好きなものもあるが、それさえも好みは対照的。そんな私たちがどうしてこんなに仲良し姉妹でいられるのか、自分でもときどき不思議に思う。

 

私は人と話すのが苦手だ。世間話ができないし、他人に興味が無さすぎる。だから友人との会話もよく止まる。次の話題がない。本当に何も出てこないのだ。

だが、妹とはそんなことはない。たまに電話をするとトイレ休憩を挟んでまで喋り続ける。ちなみにこれまでの最高記録は4時間だ。妹と電話をする日は、外出予定も夕食の献立も変更しないといけないからなかなか大変。

それでも、この時間は楽しい。とにかく好みが合わないため、お互い話したいことを一方的に言ってるだけの時間もあるが(つまり相手の話を真面目に聞いてない)、そんなフリーダムなことができるのも家族だからこそ。

私は漫画やアニメにあるような、なんでも話せる、ふざけられる、結構辛辣なことも言ったり言い返したりできる、そういう友人関係に憧れていた。お互いちょっと雑な対応してるけどそれは信頼してるからこそ。お互いが最強の相棒、みたいな関係性。だがこれがなかなか難しい。私の場合は冗談も言えないし、無意識ながら本気できついことを言ってしまうときもあるので、慎重に丁寧に人と接していく必要がある。だから私にとっての「友達」という存在は、きっと世間一般でいうそれとはちょっと違う存在なのだと思う。なんというか、大好きだけどものすごーく気を使うというか(それが普通なのか?)自分にとっては少し特殊な人間関係というか。なんだか上手く言えないけれど。

その点、妹とはそういう関係を築けていると思う。これ見て!と一方的に好きな画像や動画をを送りつけあったり(お互い大した返事はなし)、今日この映画入るからよろしく!となぜか金ローの番宣が送られてきたりもする。

憧れは、ちょっと違う形で叶えられているのだ。

 

伯父の葬儀があった関係で、遠方にいた妹も帰省していた。妹がいる間は私も毎日実家に行き時間無制限のおしゃべりしていたがそれも今日で終わり。夕方からはまた日常が戻ってくる。

ちょっと(いや、かなり)寂しい気持ちはあるが、明日にはきっとまたお互い何かしらを送りつけ合っていることだろう。

残り時間わずか。さっさと支度して、出かけなくては。